痴漢は犯罪です!!
『本日もご乗車、誠にありがとうございます。地下鉄桜町線、ひばり台行きです。』
(毎日、毎日、どうしてこの電車はこんなに混雑するんだよ~。)
心の叫びを小さく呟きながら、高校3年生、篠原亜優美(しのはらあゆみ)は、乗った扉の反対側の扉に体を押し付けられていた。
『次の停車駅は、桜町です。』
毎日、通学でこの地下鉄桜町線を利用している。
新庄駅から4つ先の西川駅まで。
都心の中心部を横断する桜町線は、新庄駅に到着する頃にはもうすでにこれ以上乗れないのではないか、という程、満員の状態でホームに入ってくる。
他の路線を使う事も出来るが、桜町線が一番便利で早い事、また、いつも乗る3両目の前から2つ目の扉が降りる駅である西川駅の改札口へのエスカレーターが目の前にある事から亜優美の定位置になっている。
電車は亜優美が乗車した新庄駅の次の駅、桜町駅に到着し、扉が開くと同時にたくさんのサラリーマンや学生達が降りて行く。
けれど、入れ替わるように降りた人数、いやそれ以上のサラリーマンや学生達が乗ってくる。