痴漢は犯罪です!!
「ち、ちょっと…。」
手首を掴まれた男性はバランスを崩しながらもホームに引っ張られる。
ホームに降りると、亜優美は振り返り、冷静に掴んでる手首を顔の前まで持ち上げた。
「あなたですね?」
「何がですが?」
目の前にいる手首を掴んだ男性。
細身で紺色の背広を着こなし、とても痴漢をするような感じに見えないサラリーマン。
(こうゆう人ほど、実は、って、事あるものね。)
「痴漢ですよ。ち・か・ん。」
「何の事ですか?僕は痴漢なんてしてませんよ。」
「何言ってるのですか。桜町駅からずっと私のお尻触っていたでしょ?」
「何かの間違いです。僕は本当に痴漢なんてやってません。」
必死に否定するサラリーマンとのやり取りに終わりが見えない事を感じた亜優美は、すみません、と丁度、傍を通りかかった駅員を呼び止めた。