Snow&Cherry
そんな、祈りに近い事を考えていると、母親がバタバタと階段を上がってきた。

母親の顔は真っ青で、手には受話器を持ってる。
それを見ただけで、何が起きたのかは分かった。


「けっ……警察が!」


母親は震える声でそう言った。
受話器を受けとると、男の声が聞こえた。
聞きたいことがある、とその男は言うと、多田が殺された事を話し出した。


知ってます。なんて言えるはずもなく、男の話にさも驚いた風に相づちを打ちながら話を聞く。
「クラスメートの母親が昨日、10時位に歩いている君を見たらしいんだ。話を聞きたいだけだから、一回署まで来てくれる?」


子供だからって、なめてもらっちゃ困る。
今まで、推理小説もミステリードラマも、たくさん見てきた。
言い訳位、考えてるさ。



佐倉を守る。


「………わかりました。」


ハルなんかに、屈してたまるか。オレはもう………。







佐倉を見殺しにしたりなんかしないから。
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