Snow&Cherry
「永瀬っ………!」


母親に呼ばれてリビングに行くと、彼女から電話だと言われたので、軽く睨んでから電話に出ると、出たのは、震えた声の佐倉だった。

用件は多分、三好の事だろう。
それにしても、声から察するに、佐倉は泣いてる。

なんでだよ。
佐倉が泣くことない。
だって佐倉は、三好の事が嫌いだったはずだ。

「優花っ……中3になってから、話すようになったのに……。
優花、ごめんって謝ってくれたのにっ………!!」


佐倉は、本当に悲しかったんだ。
三好が死んで、本当に悲しかったんだ。


ハルと佐倉は、違う人間だ。
ハルが恨んでる奴でも、佐倉は好きな場合がある。


この殺人で、佐倉が悲しい思いをするなんて、思ってなかった。

死んだことを、悲しむなんて、思ってなかった。




「永瀬っ……!」



オレに弱音を吐いてくれる佐倉を、今すぐ抱き締めたい。

会いたい。




でも、それが出来ないのは………………。



「………佐倉。大丈夫だよ。」




オレが、嘘つきだから。
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