Snow&Cherry
第三章
そして、迎えてしまった林間学校。
バスの席も隣という不運に見舞われ(同じ班の人と隣というルールなんだけど。)
早速、持ってきた本の活躍です。
「…………。」
「…………。」
永瀬も、近くの席の人と話せば良いのに、何故か押し黙ったままだし。
二人の間に、冷たい風が吹く。
…………夏なのに。
「(えー!犯人この人だったの!?)」
私が殺人事件の真犯人に驚いていると。
「………犯人、わかった?」
いきなり、永瀬が声をかけてきた。
私は、真犯人よりもその事に驚いて、思わず本を落としてしまう。
「……大丈夫?」
永瀬は、私が落としてしまった本を拾うと、ペラペラとめくった。
「これ、読んだことあるんだ。だから話したかったんだけど、まだ犯人知らないみたいだったから待ってた。」
永瀬はそう言うと、本を私に渡してくれた。
………そうか。永瀬はただ黙ってたんじゃなくて、私がいつ犯人に気付くか見てたんだ。
私と話すために………。
「もう一回読んだらわかるけど、132Pの三行目が、ヒントの鍵になるよ。」
永瀬はそう言うと、再び前を向いて黙ってしまった。
て言うか、永瀬って……。
「本とか読むんだ……。」
気付いたときにはもう遅い。
思ったことは、口から滑っていた。
いやいや。永瀬だって本ぐらい読むだろう。
そういえば、去年の夏休み本屋にいるのを見かけたんだった。
「意外?」
永瀬が、私の一言で再び私の方を向く。
こうして間近でみても、キレイな顔してるな………。
「あ、意外っていうか………推理小説好きなんだって思って。」
これは事実。
クラスで推理ゲームやった時も、全く参加してなかったし。
「あぁ……あれは、問題文の時点で、ヒントがなくても、答えがわかったから。
それじゃ作ったやつらがガッカリするかなーと思った。」
永瀬はそう言うと、私が持っている本を指差して、「でもこれは、結構面白い」と言った。
そして、自分の鞄から同じ作者の本を出して、私に差し出す。
多分、貸してくれるんだと思う。
私はお礼を言ってから、二冊とも鞄にしまった。
「………優しいんだね。」
「なにが。」
どうやら、持ってきた本は、ただのお荷物になりそうです……。
バスの席も隣という不運に見舞われ(同じ班の人と隣というルールなんだけど。)
早速、持ってきた本の活躍です。
「…………。」
「…………。」
永瀬も、近くの席の人と話せば良いのに、何故か押し黙ったままだし。
二人の間に、冷たい風が吹く。
…………夏なのに。
「(えー!犯人この人だったの!?)」
私が殺人事件の真犯人に驚いていると。
「………犯人、わかった?」
いきなり、永瀬が声をかけてきた。
私は、真犯人よりもその事に驚いて、思わず本を落としてしまう。
「……大丈夫?」
永瀬は、私が落としてしまった本を拾うと、ペラペラとめくった。
「これ、読んだことあるんだ。だから話したかったんだけど、まだ犯人知らないみたいだったから待ってた。」
永瀬はそう言うと、本を私に渡してくれた。
………そうか。永瀬はただ黙ってたんじゃなくて、私がいつ犯人に気付くか見てたんだ。
私と話すために………。
「もう一回読んだらわかるけど、132Pの三行目が、ヒントの鍵になるよ。」
永瀬はそう言うと、再び前を向いて黙ってしまった。
て言うか、永瀬って……。
「本とか読むんだ……。」
気付いたときにはもう遅い。
思ったことは、口から滑っていた。
いやいや。永瀬だって本ぐらい読むだろう。
そういえば、去年の夏休み本屋にいるのを見かけたんだった。
「意外?」
永瀬が、私の一言で再び私の方を向く。
こうして間近でみても、キレイな顔してるな………。
「あ、意外っていうか………推理小説好きなんだって思って。」
これは事実。
クラスで推理ゲームやった時も、全く参加してなかったし。
「あぁ……あれは、問題文の時点で、ヒントがなくても、答えがわかったから。
それじゃ作ったやつらがガッカリするかなーと思った。」
永瀬はそう言うと、私が持っている本を指差して、「でもこれは、結構面白い」と言った。
そして、自分の鞄から同じ作者の本を出して、私に差し出す。
多分、貸してくれるんだと思う。
私はお礼を言ってから、二冊とも鞄にしまった。
「………優しいんだね。」
「なにが。」
どうやら、持ってきた本は、ただのお荷物になりそうです……。