聖乙女(リル・ファーレ)の叙情詩~奇跡の詩~
「私のことは、いいのです。それよりアクスの言った通り、アンジュの姫の力を聖乙女に取り戻させるため、なんとしても虹のたもとを取り返さねばなりません。今、魔月たちは―――」

セラフィムによれば、今ピューアの村の内部に100匹、村の外にも100匹の魔月がおり、隙のない完璧な布陣であるという。彼らは虹のたもとが重要な場所であると本能でわかっているので、絶対に村を渡さないつもりなのだ。

「プリラヴィツェの兵たちとの連絡もとれない今、私たちの力だけで村を取り返さなければなりませんが、正攻法では無理です。いちかばちか…奇策を用いるしかありません。そのためには二人の力が必要です。お願いです、力を貸してください」

アクスは頷いた。

セラフィムのように、すべてを賭けて戦う決意はできていた。
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