聖乙女(リル・ファーレ)の叙情詩~奇跡の詩~
3
寒い。
びゅうびゅうと吹きすさぶ肌を刺すような冷たい風を全身に感じて、リュティアは暗い眠りから目覚めた。
重い瞼をあげると、真っ白な世界が広がっていた。
荒涼とした岩肌の見える大地に白く積もるもの。
雪だ。
リュティアは一瞬自分がもう死んでしまったのではないかと思った。雪と言えば黄泉の国しか思い浮かばなかったからだ。しかしすぐに自らそれを否定する。黄泉の国なら、こんなに寒くはないはずだと。
そう、リュティアは寒かった。間断なく吹き付ける冷たい風が容赦なく体温を奪っていくのだ。体はあまりの寒さにがくがくと震えようとしていたが、ままならない。
リュティアの体はきつく拘束されていたのだ。鋼鉄の墓碑のようなものに、両手両足、胴にまで鎖を何重にも巻かれてはりつけにされていたのだ。
悪夢だった。
視界の右手に見えるのはおそらく闇の城だ。自分は再び捕らえられたのだ。
その事実を裏付けるように、左手から三つ頭の巨大な獣が姿を現した。
「やあ、気分はどうかな? 聖乙女」
リュティアはこの時確かに絶望を感じた。
しかしまだ彼女は絶望に屈してはいなかった。
リュティアは唇を引き結び、ゾディアックを睨みつけた。それが今の彼女にできる精一杯の抵抗だった。
びゅうびゅうと吹きすさぶ肌を刺すような冷たい風を全身に感じて、リュティアは暗い眠りから目覚めた。
重い瞼をあげると、真っ白な世界が広がっていた。
荒涼とした岩肌の見える大地に白く積もるもの。
雪だ。
リュティアは一瞬自分がもう死んでしまったのではないかと思った。雪と言えば黄泉の国しか思い浮かばなかったからだ。しかしすぐに自らそれを否定する。黄泉の国なら、こんなに寒くはないはずだと。
そう、リュティアは寒かった。間断なく吹き付ける冷たい風が容赦なく体温を奪っていくのだ。体はあまりの寒さにがくがくと震えようとしていたが、ままならない。
リュティアの体はきつく拘束されていたのだ。鋼鉄の墓碑のようなものに、両手両足、胴にまで鎖を何重にも巻かれてはりつけにされていたのだ。
悪夢だった。
視界の右手に見えるのはおそらく闇の城だ。自分は再び捕らえられたのだ。
その事実を裏付けるように、左手から三つ頭の巨大な獣が姿を現した。
「やあ、気分はどうかな? 聖乙女」
リュティアはこの時確かに絶望を感じた。
しかしまだ彼女は絶望に屈してはいなかった。
リュティアは唇を引き結び、ゾディアックを睨みつけた。それが今の彼女にできる精一杯の抵抗だった。