聖乙女(リル・ファーレ)の叙情詩~奇跡の詩~
その上風邪ひきのフレイアが暴力沙汰を起こしてしまった。
これにはフレイアにも言い分がある。
滋養をつけるためにと入った上品な立食式飲食店でその事件は起こった。
隣の脂ぎった中年男がなんと、フレイアのお尻をいやらしく触って来たのだ!
フレイアは廷臣たちや国民の間で炎の王女と呼ばれていた。炎のように激しい気性の持ち主だったからだ。だからこのいわゆるセクハラに、当然我慢がならなかった。
『天誅――――!!』
叫ぶなりフレイアは下から上へ中年男の顎を殴り飛ばした。
『それ以上触ってみなさい、ぶっ殺すわよ!!』
倒れた男の鼻先に短剣を突きつけそう息巻いたはよかったが、男は気を失っていた。警備の軍が駆けつけてくる前に、こめかみを押さえたジョルデに連れられ、フレイアはそそくさと退散したのだった。
この顛末を知ったら、婚約者のザイドはきっとこう言うだろう。
『ばか。そう言うのは、気付かれないようにやれ』
「―――ばかとはなんですってぇ~~っ!!」
想像に対して想像で怒り、フレイアはテントの天井に左手をかざして婚約指輪に怒鳴りつける。
これにはフレイアにも言い分がある。
滋養をつけるためにと入った上品な立食式飲食店でその事件は起こった。
隣の脂ぎった中年男がなんと、フレイアのお尻をいやらしく触って来たのだ!
フレイアは廷臣たちや国民の間で炎の王女と呼ばれていた。炎のように激しい気性の持ち主だったからだ。だからこのいわゆるセクハラに、当然我慢がならなかった。
『天誅――――!!』
叫ぶなりフレイアは下から上へ中年男の顎を殴り飛ばした。
『それ以上触ってみなさい、ぶっ殺すわよ!!』
倒れた男の鼻先に短剣を突きつけそう息巻いたはよかったが、男は気を失っていた。警備の軍が駆けつけてくる前に、こめかみを押さえたジョルデに連れられ、フレイアはそそくさと退散したのだった。
この顛末を知ったら、婚約者のザイドはきっとこう言うだろう。
『ばか。そう言うのは、気付かれないようにやれ』
「―――ばかとはなんですってぇ~~っ!!」
想像に対して想像で怒り、フレイアはテントの天井に左手をかざして婚約指輪に怒鳴りつける。