聖乙女(リル・ファーレ)の叙情詩~奇跡の詩~
陽雨神は蘇る面影に何度も瞬き、やがてうつむいてぼそりと呟いた。
「母上の…言ったことを、考えてみた」
「え?」
「祈っていろ、暗くなる」
「は、はい」
「一人じゃないと、言ったな。皆で取り組んでいるのだと」
リュティアは言われたとおり目を閉じ祈りながら、頷く。
「皆で取り組んだから、なんだという。一人じゃないから…なんだという。我は」
陽雨神の声がくぐもった。リュティアが思わず目を開けると彼は片手で顔を覆っていた。
「我は悲しい。悲しいのだ。悲しくて悲しくてたまらないのだ。こんな悲しみははじめてだ。たとえ一人じゃなかったとて、この気持ちには何の変化ももたらせるはずがないのだ」
それはやっと陽雨神が見せてくれた真実の心だった。
だからリュティアも真実の心で答えたい、そう思った。
「陽雨神様は、…悲しみは悪いものだと思っていらっしゃるのですか?」
「ああ、悪いものだ。我を支配し、我をどうしようもなく苦しめる。悪いものでなくて、なんだというのだ」
「……。そうですね、うまく、言葉にできるかわかりませんが………」
リュティアの目の前を瞬きながら廻る星がある。それをゆったりと泳ぐクラゲが追いかけている。マイペースだ。リュティアは今まさに、このクラゲのようにマイペースに、人生を振り返り始めていた。真実の心で答えるためにはそれが必要だと思った。
人生に訪れた深い悲しみを思い出す…。それは辛いことだから目をそらす? ―いいえ、マイペースでいいから、向き合う、光を追いかける…。
陽雨神も続きを催促しなかった。二人の間に時はゆっくりと流れていた。
母を失った悲しみ、祖国を失った悲しみ、恋した人に殺められた悲しみ…様々な悲しみがリュティアの中を駆け巡る。その中から、ふるいにかけるようにして、きらきら輝く大切なことをみつけていく…。
やがて静かに、リュティアは言葉にした。みつけだした大切なことを。
「母上の…言ったことを、考えてみた」
「え?」
「祈っていろ、暗くなる」
「は、はい」
「一人じゃないと、言ったな。皆で取り組んでいるのだと」
リュティアは言われたとおり目を閉じ祈りながら、頷く。
「皆で取り組んだから、なんだという。一人じゃないから…なんだという。我は」
陽雨神の声がくぐもった。リュティアが思わず目を開けると彼は片手で顔を覆っていた。
「我は悲しい。悲しいのだ。悲しくて悲しくてたまらないのだ。こんな悲しみははじめてだ。たとえ一人じゃなかったとて、この気持ちには何の変化ももたらせるはずがないのだ」
それはやっと陽雨神が見せてくれた真実の心だった。
だからリュティアも真実の心で答えたい、そう思った。
「陽雨神様は、…悲しみは悪いものだと思っていらっしゃるのですか?」
「ああ、悪いものだ。我を支配し、我をどうしようもなく苦しめる。悪いものでなくて、なんだというのだ」
「……。そうですね、うまく、言葉にできるかわかりませんが………」
リュティアの目の前を瞬きながら廻る星がある。それをゆったりと泳ぐクラゲが追いかけている。マイペースだ。リュティアは今まさに、このクラゲのようにマイペースに、人生を振り返り始めていた。真実の心で答えるためにはそれが必要だと思った。
人生に訪れた深い悲しみを思い出す…。それは辛いことだから目をそらす? ―いいえ、マイペースでいいから、向き合う、光を追いかける…。
陽雨神も続きを催促しなかった。二人の間に時はゆっくりと流れていた。
母を失った悲しみ、祖国を失った悲しみ、恋した人に殺められた悲しみ…様々な悲しみがリュティアの中を駆け巡る。その中から、ふるいにかけるようにして、きらきら輝く大切なことをみつけていく…。
やがて静かに、リュティアは言葉にした。みつけだした大切なことを。