あたしこそが最愛最高の姫である
暴走族Ⅴ
煌side*
梅雨も明け、屋上で過ごしている俺ら。
最近は少し、日差しが強くなってきた。
夏はもう目の前だ。
「……ねみぃ」
快晴で空は青く、そよ風が気持ちいい。
今日は全員そろっていて和矢はいつも通りソファーには座らず、フェンスにもたれて寝ている。
そして玄武は女と連絡を取っているのか携帯を弄り、蒼は何もせず爆睡。
時雨は何か本を読んでいて、実桜はただボーっと流れる雲を見ていた。
玄武はとうの昔に生徒会の姫を忘れ、前のように女遊びが激しくなった。
和矢は………どうか分かんねーけど、前よりかは確実に前へ進めていると思う。
ミルクティーを飲んでいる和矢を、最近は見ていない。
そして時雨は売店の女と付き合えてはいないが、それなりに上手くいき始めているようで最近笑顔が増えた。
一時はどうなるかと思ったが……最近は何とか持ち直している。
まずはホッと一安心だ。
でもまだ問題が一つだけ残っている。
……実桜。
数か月の間一緒にいて、情がわいているのは事実。
倉庫では下っ端たちには好かれてるし、実桜がいるだけで雰囲気は明るくなっていい。
でも俺はもう実桜に寄せていた身勝手な期待は薄れ、それなりに大切には扱っているけど少しぞんざいな扱いになってしまっているところがある。
下っ端たちとのことを考えると心残り的なのがあって、今まで保留にしてきたけど…。
もう潮時なのかもしれない。
俺は、実桜をこのまま他の族から守り抜く自信も意思もない。
実桜に姫をやめてもらい、俺らと無縁の関係になって平和に楽しく高校生活を送ってもらった方が良いに決まってる。
この前幹部の奴らに確認すると、全員から了承を得た。
………話すか。
そう思って少し重い口を開こうとしたとき…。