あたしこそが最愛最高の姫である








ごほん、とあたしは咳払いをして椅子から立ち上がった。










周りを見ると顔を赤くしていたり、ポカーンと口を開けたりしてあたしたちをみているクラスメイト。









………みんながみんなこっちを見ていて単純な人ばっかりだなぁーと思った時、一人だけあたしたちの方を向いていない存在を見つけた。











一人本をじーっと読んでいる小柄な男。









髪もぼさぼさで、横顔しかわからないけどメガネをかけていていわゆる地味系男子。










…………ふぅん、と思ってスタスタと入り口の男へと歩いた。










「……ちょ、お、おい!」









チャラ男からかけられた声も当然のごとく無視。









あたしはただ、ドアだけをじっと見つめた。










どの男も眼中にない。











「……邪魔。どいてくれる?」











背の高い男を見上げた。












でも反応はない。








ただため息をついて、男の腕を軽く引っ張ってどかそうとした。











でもその時。















男に触れていた手をぐっと掴まれ、引き寄せられてしまった。













「……え、ちょっ!」











そして何の抵抗も出来ないまま_________。














ちゅっ












唇と、唇が合わさった。


















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