【完】恋愛距離*.゜ーボクラノキョリー
「でもスイカ、4つもくれたんだけど食べきれないわよね〜」
「んー」
「そうだ理貴、これお隣さんに2つ持っていってあげてよ!」
「はあ!?」
隣にって、沢森の家じゃん。
不意に思い出す、あの日のこと。沢森に恋人が居るって知った日──。
あの日から沢森とは喋っていない。俺が、避けているから。それに向こうも好き好んで俺に話しかけには来ないだろうし。
「やだよ。自分で行けよ」
「なに不機嫌になってんの?だらけすぎよ!運動不足になるわよ!」
「隣の家まで歩くくらいで運動になんかならねーだろ……」
いいから持っていきなさい!と俺にスイカの入った袋を押し付ける母さん。
めんどくせえ……てか、行きたくない。
「ほらとっとと行く!」
「わかったよ……ったく、人使い荒いな……」