【完】恋愛距離*.゜ーボクラノキョリー
こんな日曜日に誰だよ……昴か?なんて思いながら玄関の扉を開くと、そこに立っていたのは見知らぬ男だった。
優しそうな目尻の笑い皺が印象的で、俺を見たその人は、にこりと微笑んでからお辞儀をした。
「突然すいません。私、昨日隣に引っ越してきた者ですが……」
「ああ、はい……」
そう言えば、ずっと空き家だった隣に、誰かが越してくるらしいというのは、数週間前からしっていた。
……そうか、昨日越してきたのか。
「お隣どうし、よろしくお願いしますね。これ、つまらない物ですが……」
「ああ、はい……あー……母親、居ますけど、呼んできますか?」
差し出された紙袋を受け取りながら、そう尋ねると、その人は申し訳なさそうに微笑み、「お願いします」と言った。
俺はそれに頷き、リビングへと戻る。