【完】恋愛距離*.゜ーボクラノキョリー
それから母親に事情を説明して、俺はまたリビングでテレビを見ていた。
正直、隣に誰が越してこようがどうでもよかった。
十分くらいしてから母親が戻ってきて、俺に、「お隣さんのお子さん、あんたと同い年らしいから仲良くしなさいね」と言われたのも適当に返事をして受け流していた。
夜になって考えたのは、そういえば隣の人の名字ってなんだったんだろう、なんて事だった。
それほどまでに隣の存在は、俺のなかでは薄くて存在感のないものだったんだ。──その時までは。
──翌日。
登校してから、机に伏せていると、「りーきーっ!」という元気な声とともに、また背中に衝撃を受けた。
……こいつ、ほんと人の背中叩くの好きだな、なんて思いながら顔を上げれば、案の定そこにはご機嫌な様子の昴が居た。
「……んだよ」
「おいおいなんで朝なのにそんなテンション低いんだよー!」
三割近くはお前が原因だよ。