【完】恋愛距離*.゜ーボクラノキョリー
「それでも、恵梨のことは譲らないから」
その口調には、揺るぎようのない強さが秘められていて。
「……知ってるよ」
わかってんだよ、そんなこと。と俺も苦笑いするしかなかった。
わかってた。
全てをこいつに打ち明けたところで、沢森が帰ってくる訳じゃないこと。
──ああでも。
少し、期待してたんだ。
俺に同情した土屋が、本当の事を沢森にいってくれて、事実を知った沢森が「ごめんね」と俺の元に戻ってくるんじゃないかって。
自分が甘くて、嫌になる。
そんなのただの甘ったれだった。
自分で取り返すしか、無いんだよ。