【完】恋愛距離*.゜ーボクラノキョリー
└渓斗side*.゜
気付いてないのは本人達だけだった。
どうしようもなく、二人は似ていて。
俺だけが、他所者だった──。
目の前に座るコイツは、俺の嫌いな男。
だけど性格が嫌いだとかそういうんじゃなくて、むしろなんのしがらみも無くしてしまえば、きっとこいつとはいい友人になれるんじゃないかなんて考えるほど性格は良いと思う。
それでも仲良くすることが出来ないのは、大きな壁が、俺達にはあるから。
恵梨というしがらみ。
越えることは出来ない壁だ。どちらにも譲るつもりがないのなら。
とはいえ、夏休みになってこっちに上京してくるまで、俺の中でのコイツ──木村は、最低最悪な人間でしかなかった。