【完】恋愛距離*.゜ーボクラノキョリー
そんなんだから彼女出来ねーんだよ、なんて心のなかで呟く。……実際に口にすると、すぐ拗ねるからな、こいつ。
「だってあと一ヶ月で夏だぞ!?これからウキウキでパラダイスな夏休みにするには彼女の存在は必要不可欠だろ!!」
「はいはい」
なにやら訳のわからないことを力説しだした昴を適当にあしらっていると、担当の教師が入ってきた。
「席につけー」という声とともに、皆バラバラと自分の席につく。
まだ何か言っている昴を無理矢理席へと押し戻し、ぼーっと教師を見ていた俺の視界に──それは突然飛び込んできた。
さらりと靡く、艶のある黒髪。
やや伏し目がちの、大きな瞳。
きゅ、と結ばれたピンク色の小さな唇。
困ったように下がった、眉。