【完】恋愛距離*.゜ーボクラノキョリー
まるで彼女の生き写し──違う、彼女本人が、そこに、俺の目の前に立っていた。
あの頃と何も変わらない──唯一違うのは、眼鏡をかけていない事だろうか。
もう二度と出会うはずがないと思っていた少女。
会いたいのに、会うのが怖くてたまらなかった女の子が、そこに立っていた。
確かに、俺の目の前に存在していたんだ。
「今日は転校生を紹介する」
淡々とそう告げる担任の声を聞きながら、早鐘を打つ心臓をどうにか宥めようとする。
もしかしたら、別人かもしれない。
世界には、自分と同じ顔のやつが三人居るって言うし──……。
だけど。
「よし、挨拶しろ」
「はい……。家庭の事情で転校してきました、沢森恵梨(さわもりえり)です」