【完】恋愛距離*.゜ーボクラノキョリー





まるで彼女の生き写し──違う、彼女本人が、そこに、俺の目の前に立っていた。



あの頃と何も変わらない──唯一違うのは、眼鏡をかけていない事だろうか。



もう二度と出会うはずがないと思っていた少女。

会いたいのに、会うのが怖くてたまらなかった女の子が、そこに立っていた。



確かに、俺の目の前に存在していたんだ。



「今日は転校生を紹介する」



淡々とそう告げる担任の声を聞きながら、早鐘を打つ心臓をどうにか宥めようとする。



もしかしたら、別人かもしれない。



世界には、自分と同じ顔のやつが三人居るって言うし──……。



だけど。



「よし、挨拶しろ」

「はい……。家庭の事情で転校してきました、沢森恵梨(さわもりえり)です」




< 15 / 310 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop