【完】恋愛距離*.゜ーボクラノキョリー
俺は別に気にしないからいいけど、滑川からしたら無言は気まずいことこの上ないだろう。
かといって、何か話題があるわけでもないしなー。
「滑……」
「あのさっ!」
とりあえず何か適当な話題を、と滑川に話しかけようとした瞬間、遮るように滑川が口を開いて。
驚いた俺は思わず目を見開いた。
「おう……どうした?」
大きな声が出たことが恥ずかしかったのか、顔を赤くさせながら俯く滑川。
「……昼間の、事なんですけど……」
声小さっ!
どんだけ恥ずかしかったんだ、と少し笑う。
「話があるってやつ?」
「うん、それ」
「うん。聞くよ今」
「……あの、さ」
モジモジと言いにくそうに視線を逸らす滑川。
そして暫く逡巡するように視線を巡らせてから、決心したように俺を見上げた。
「木村君の、好きな人が誰か知りたい」