【完】恋愛距離*.゜ーボクラノキョリー
「待ってた」
来てくれたことが嬉しくて思わずそう言うと、かあっ、と沢森が顔を赤らめる。
なあ、なんでそんな可愛い反応すんの?
……俺の事、嫌いなくせに狡いんだよ。
「お、遅くなってごめんなさい。私が来ないと出来ないですもんね……!」
さっさと終わらせましょう、とプリントを取ろうとした沢森の手の甲に、自分の手のひらを重ねる。
じ、と沢森の瞳をのぞき込むと、沢森は身動きが取れなくなったように俺を見つめ返した。
「……お前が来ないと仕事が出来ないからとか、そうじゃなくて、来てくれないんじゃないかって思ってたから」
ああダメだ。
もう頭ん中ぐちゃぐちゃで、言いたいことなんか纏まりやしない。
俺の思考回路は、沢森で染められてる。
「来てくれて、ありがとな」
「っ、」