【完】恋愛距離*.゜ーボクラノキョリー
ふ、と微笑んでそう言うと、パッと沢森が顔を背ける。
折角絡んでた視線が解かれて、少し名残惜しくなった。
「仕事放棄するなんてしませんよ……!先生に言われたから、だから来たんです」
別に俺のためじゃないって、そう言いたいのか?
……それでもいい。
「俺が勝手に喜んでるだけだから」
「〜っ!いい加減手を離してくれませんか!」
そう強い口調で言われて、ゆっくり手を離す。
本当は離したく無いけど、とにかくこのプリントの山をどうにかしないといけないし。
「じゃあこれ」
俺は、さっき担任から貰ったホチキスを沢森に渡す。
沢森はそれを受け取ると、プリントを三枚手にとって椅子に座った。
だから俺も椅子に座った──のだけど。
「き、木村君」
「なに?」
「……なんで隣に座るんですか」