【完】恋愛距離*.゜ーボクラノキョリー
物凄い音がしたかと思ったら、パッ、と部屋の明かりが消えた。
「うわ……停電かよ」
雷どっかに落ちたなこれ、と思いながら、懐中電灯でもないかとその場を動こうとしたとき。
「やっ……!」
沢森が、俺に。
──抱きついて来た。
俺はもう何が起こったのか分からなくて、思考が一瞬にしてグルグルぐちゃぐちゃになって。
いや、だって。
沢森が自分から、抱きついてくる、なんて。
そんなん、付き合ってた時でさえ無かったぞ……!?
「さ、沢森……?」
恐る恐るそう声をかけてみても、沢森はぎゅう、と俺にしがみつくだけで。
暗くて、顔も見えないし。