【完】恋愛距離*.゜ーボクラノキョリー
どうしたもんか、と考えていると、ある事に気付く。
沢森、震えてる……?
俺の服を掴む沢森の手は、怯えたように小刻みに震えていて。
──ああ、そっか。
「沢森、雷苦手?」
そう訊くと、沢森は小さく頷いて。それから、
「暗いのも……怖い」
蚊の鳴くような声で、そう呟いた。
わかってる。不謹慎だってこと、十分わかってるけど。……沢森が可愛すぎて、そろそろ辛い。
「俺、どこにも行かないから……」
だから安心していいよ、と沢森をそっと抱きしめ返すと、ふわりと柔軟剤の香りが強くなった。
なあ、沢森。
ここに居たのが、俺以外の奴でもこうやって抱きついたのかな、お前は。