【完】恋愛距離*.゜ーボクラノキョリー
そんな事を思いながら、俺は彼女がくれた少し小さめの傘を、バサリと開いた。
夏休み気分が抜けきらなくてボーっとしていたクラスの雰囲気も、数日も経てば活気に溢れだした。
それもそうだ。──なんたって文化祭が近いんだから。
文化祭一週間前に迫った今日のLHRは、文化祭準備へと当てられた。
俺のクラスは和風喫茶で、着物を着て和菓子やお茶を提供する催し物をやる。
正直文化祭とか人が多いだけで楽しくもなんともないし、どうでもいいんだけど。
……沢森の着物姿が見られるのは、少し楽しみだったりする。
「おーい、理貴も手伝えよ!」
ボーッとしていると、不意に昴が肩を組んできて。
わかってるよ、と昴の顔を見ながら言おうとして、俺は思わず眉根を寄せた。