【完】恋愛距離*.゜ーボクラノキョリー
かーって見てるこっちが恥ずかしくなるくらいの勢いで真っ赤になって。
ほんと、お前の熱がこっちまで移りそう。
「拗ねてないですから!」
邪魔するんならあっち行ってて下さい、と怒る沢森に笑って、俺は沢森の足元にあったハケを手にとった。
「俺も手伝いに来たんだよ」
一人でこんな作業、大変に決まってる。
誰かに頼ればいいのに、きっと沢森は転校生って引け目から話しかけたりしないだろうから。
「二人でやれば、二倍速だろ」
そう言うと、沢森は一瞬目を見開いてから、渋々といったように俺にお礼を言うのだった。
文化祭準備なんてだるいとしか思ってなかったけど、沢森と作業してたらあっという間に時間は過ぎて。
俺が時々話しかけて、それにポツリポツリと沢森が答えるような、ほとんど会話のない時間だったけど。
それでも、楽しかった。
「じゃあとりあえず今日はここまでなー。帰りのSHRやるからさっさと片付けろー」