【完】恋愛距離*.゜ーボクラノキョリー
担任のその言葉を皮切りにして、ガヤガヤとまた騒がしくなる。
看板もどうにか三分の二くらいは塗り終わり、これなら文化祭当日までには余裕で間に合いそうだ。
「じゃあ俺ペンキ片付けてくるからそっちの看板よろしくな」
そんなに大きい看板でもないし、重くないだろうからと看板の方を頼むと、何故か沢森はそこから動こうとしなくて。
「……沢森?」
どうした?と顔をのぞき込むと、沢森は意を決したように顔をあげた。
「木村くん」
「お、おう……?」
やけに真剣な沢森の瞳に思わずたじろぐと、沢森がぺこりと頭を下げた。
「……手伝ってくれて、ありがとうございます」
じゃあ、と俺に言葉を発させる時間も与えず、スカートを翻して去ってしまった沢森。
いい逃げかよ、ばか。