【完】恋愛距離*.゜ーボクラノキョリー
突然後ろから複数の声に呼び止められて振り向くと、五人くらいの女子が俺の事を見ていた。
な、なんだ?ゾロゾロと……。
俺なんかやらかしたっけ、と冷や汗をかきながら見ていると女の子達が手に持っていた道具をずいっ、と俺に差し出してきて。
「一緒に文化祭準備しよう!」
「……は?」
「高いところに飾り付けを付けたいから背が高い人が必要なの!」
「そんなん俺じゃなくても──」
「他にやらなきゃいけないことでもあるの?」
そう言われると、困る。
沢森の手伝いをするのは俺の勝手なエゴだし、そんなことを言ったら俺が沢森に特別な気持ちを持ってること、バレるだろうし。
ちら、と沢森を見ると、今日は何人かが手伝ってくれるらしく、他の女の子二人くらいと楽しそうに話していた。
……俺が行っても、邪魔なだけか。
「……わかった、手伝う」
ちょっと溜息をつきながらそう言うと、キャーっ!と目の前の女子が色めきたつ。
誰でもいいなんて嘘だろ、と少し苛立った。