【完】恋愛距離*.゜ーボクラノキョリー




沢森が来てから前ほど荒んだ考えはしなくなったけど、俺の顔目当てなんだろうなという考えは変わってない。


俺の事なんか、本当は何も知らないくせに。


「……え、なに、浮気?」


ズルズルと女子軍団に引きずられて、黙々と作業をしていると、外に出ていたらしい昴が帰ってきて、俺を見るとそう顔を引き攣らせた。


そんな昴の言葉に、俺も顔を引き攣らせる。


何言ってんのこいつ。まじで。


「えー!浮気って何!?」

「理貴君恋人とかいるの!?」

「えっ、やだぁー!」


昴の安易な一言のせいで、キーンと耳を劈く高い声。


やだぁ……って。

そんなの、こっちのセリフだわ。


どうなのどうなの、と袖をグイグイ引っ張ってくる手を振り払い、「そんなんじゃないから」と立ち上がる。


「理貴君どこ行くの?」

「昴と休憩してくる」


えー、と文句言いたげな声を無視して、俺は昴を廊下に連れ出した。




< 195 / 310 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop