【完】恋愛距離*.゜ーボクラノキョリー
沢森が来てから前ほど荒んだ考えはしなくなったけど、俺の顔目当てなんだろうなという考えは変わってない。
俺の事なんか、本当は何も知らないくせに。
「……え、なに、浮気?」
ズルズルと女子軍団に引きずられて、黙々と作業をしていると、外に出ていたらしい昴が帰ってきて、俺を見るとそう顔を引き攣らせた。
そんな昴の言葉に、俺も顔を引き攣らせる。
何言ってんのこいつ。まじで。
「えー!浮気って何!?」
「理貴君恋人とかいるの!?」
「えっ、やだぁー!」
昴の安易な一言のせいで、キーンと耳を劈く高い声。
やだぁ……って。
そんなの、こっちのセリフだわ。
どうなのどうなの、と袖をグイグイ引っ張ってくる手を振り払い、「そんなんじゃないから」と立ち上がる。
「理貴君どこ行くの?」
「昴と休憩してくる」
えー、と文句言いたげな声を無視して、俺は昴を廊下に連れ出した。