【完】恋愛距離*.゜ーボクラノキョリー
ちら、と教室の中に目を向けると、手前でさっきの女達がチラチラと俺を伺ってるのがわかって萎える。
またあの中に戻らなきゃいけないのかと思うと、億劫で仕方が無い。
それから、そのもっと奥に目を向けて──すぐに、沢森の姿を捉えた。
当たり前だけど、沢森は俺の事なんか見てなくて。
どうでもいい奴らには気付かれるのに、見て欲しいやつには気付いてもらえないもんだ。
「やー、ビックリしたよ。昨日は犬みたいに尻尾振って恵梨ちゃんのとこ行ってたのに」
今日は女の子に囲まれてハーレムだもんなあ、と昴がニヤリと口角をあげる。
犬みたいにって、なんかそれバカっぽくね、と思いつつ俺はそれに答えた。
「今日もそうしようと思ったけど……」
「捕まったんだ?」
「……そういうこと」
「やー、モテる男も大変だねえ」