【完】恋愛距離*.゜ーボクラノキョリー
俺もそんな風にモテてみてーなーなんて唇を尖らせる昴。
俺はモテても嬉しくないし、むしろ迷惑してるけどな。
好きになってもらえるのなんて、たった一人だけでいいんだ。
「あ、二人ともお疲れ様ー」
ふと、廊下の向こうから歩いてきた女の子が、手を振りながら俺たちに近づいて来て。
よく見ると、それは滑川だった。
「あ、滑川……」
「えー?なんか木村君反応遅くない?」
あはは、と笑う滑川はどうやら今まで昴と同じく外作業をしていたようだった。
「ごめん、今日コンタクト忘れてて」
「木村君目悪いんだ?」
「うん、ちょっとね」
でもどんだけ目悪くても、沢森のことは一発で見つけられんだもんな……。
「そっちもう終わり?」
昴がそう訊くと、滑川はうん、と頷いた。
「一段落ついたから、今から休憩。二人は?」
「俺も外作業でさー、休憩になったから理貴の邪魔しに来た。こいつ女の子たちに捕まっててさ、ウケるよな」
「いやなんもウケないから」
他人事だと思いやがって、と昴を睨む。