【完】恋愛距離*.゜ーボクラノキョリー
「……ありがとな」
俺は一言そうお礼を言ってから、その場から駆け出した。
──駆け出して着いたのは、自動販売機。
俺が行きたいのは勿論沢森の所だが、手ぶらでいく訳にも行かない。
俺は迷わずオレンジジュースを選び、ボタンを押した。
……中学の時、よく飲んでたから。
きっと今も飲み物の趣味なんか変わってねーよな、と中学の時のことを思い出しながら、俺は教室に戻った。
教室に戻ると、昴と滑川が宣言通り、さっきまで俺がいた場所に居てくれていて。
俺は女子軍団に見つからないようにそろりと後ろを通った。
それから、迷うことなく沢森の後ろまで近付いて。
俺に気付いた周りの女子が驚いた顔をしたけど、俺は人差し指を口に当てて、しー、と合図を送る。
すると、ほんのりと赤くなったそいつらはブンブンと首を縦に振った。
「次はここをこうして──」
なんか紙みたいなのに目を落としながらそう説明してる沢森に、後ろからさっき買ったばかりの缶を近寄せる。
そして、それをぴとりと頬にくっつけた瞬間。