【完】恋愛距離*.゜ーボクラノキョリー
「ひゃあっ……!?」
ビクッと肩を跳ねさせて、沢森が小さく叫んだ。
予想通りの反応過ぎて、小さく笑う。
「はは、ビックリしすぎ」
「きききき、木村君!?」
なんでここに、と目を見開く沢森に、缶を渡す。
「それ、差し入れ」
「あ、オレンジジュース……」
「好きだろ?」
そう言うと、ぽっと沢森が赤くなる。
「……よく、覚えてますね」
……覚えてるに、決まってんじゃん。
沢森の癖も笑顔もなにもかも、一つも忘れたりしない。
忘れることなんて、できねえよ。
「沢森は──」
沢森は俺の事覚えてくれてる?と聞こうとして、やめた。
周りに他にも人がいるのにする話でもないし。