【完】恋愛距離*.゜ーボクラノキョリー
「渓斗、君」
その名前を見つけたとき、ツキンと胸がいたんだ。
痛んだ理由はよくわからない。罪悪感から、か。
『今日文化祭なんだろ?恵梨の着物姿見たかった!楽しんでな!』
そんなメッセージにも、素直に喜ぶことが出来ない。それと同時に、ハッ、と冷静になった。
渓斗君がいるのに、木村君と関わりすぎた。
渓斗君はきっと、私と木村君が関わることを良くは思ってないよね。
仮にも木村君は、元彼……なわけだし。
考えがなかった。最近では、木村君が話しかけてくれるのが普通になっていて──心のどこかで、それを期待してて。
ダメだ。それはおかしい。
話しかけられない事を望まなきゃいけないんだ。
……木村君だって、きっと、私への罪悪感で話しかけてるだけだもん。