【完】恋愛距離*.゜ーボクラノキョリー
それとも。
──好きだ、沢森。今も昔も、沢森だけが好きだ。
ふと、夏休み前の言葉を思い出して顔が熱くなる。
どうしてあんなこと、急に言い出したの?
また、私のこと騙すつもりなの?
「今更なんで、そんなこと言うの……」
もう、私をかき乱すのはやめて欲しい。
厳重にかけた鎖を外さないで欲しい。
錆びて固まって、二度と開かないようにと願った思い出なんだから──。
「沢森さん?着替えないのー?」
「あっ、今着替えるね……!」
クラスの子に話しかけられてハッとする。
とにかく今日は、転校してきて初めての学校行事。
自分の仕事だけに、集中していこう。