【完】恋愛距離*.゜ーボクラノキョリー
はあ、とため息をついていても仕方ない。
とりあえず文化祭を回ろう。……一緒に回る人は、居ないけど。
誰か誘おうと思ったのだけど、誘う機会をいつも逃してしまって結局声をかけられなかった。
でも、一人は嫌いじゃないから平気。
そう思って、宛もなく歩こうとしたとき。
「ねえ、沢森さん」
後ろから肩をトントン、と叩かれて振り向くと、髪の毛を緩く巻いた可愛い女の子が立っていて。
あ、この子……。
たまに、木村君と遠山君と居るのを見かける。名前は確か──滑川未夢、ちゃん。
「は、はい」
「文化祭、二人で回らない?」
「……へ?」
何を言われるのだろうと警戒していた私に、それは予想外の言葉だった。
「だから、文化祭一緒に回らない?って。それとももう、回る人居たりするの?」
「いや、居ないけど……」
「じゃあ良いじゃん。決定ね!」