【完】恋愛距離*.゜ーボクラノキョリー
有無をいわさず引っ張られた腕。
私は何がなんだかわからないまま、その場を連れ出された。
「とりあえずどこ行くー?食べ物屋はお昼頃でいいとして……お化け屋敷とか?」
「おっ、お化け屋敷……!」
「なに?怖いの?」
にやっと笑った滑川さんに、暗いところがダメなんだと伝えると、それは残念。と滑川さんは苦笑した。
しかし……すっごいパワフルな人だなあ。
クラスで見かける滑川さんはいつも明るくて、キラキラしてて、お友達も多くて。
そんな人が、なんでわざわざ私なんかと……。
「……いきなり連れ出して、ごめんね?」
「え……」
ふと、滑川さんが立ち止まったかと思うと、私の方をくるりと向いてそう言った。
「少し、話したいことがあって」
ぱ、と繋がれていた手が離される。
あまりに真っ直ぐなその視線に、どうしてか、逃げたい、と強く思った。
「は、話……って」
「単刀直入に言うけど──」