【完】恋愛距離*.゜ーボクラノキョリー
間髪入れずに聞き返されて、戸惑う。
滑川さんの視線は相変わらず真っ直ぐで、鋭くて、私を探るかのような。
私のこと、疑ってる?
「あなたがそう言うならそれでもいいけど。私ね、木村君が好きなの」
「っ、」
ドクン、の心臓が大きく跳ねた。
何、動揺してるんだ。昔から木村君はモテた。木村君を好きらしいなんて噂も中学の時から沢山聞いてきた。
今さら、驚くことなんてない。
……モヤモヤする、資格もない。
「木村君に近づくなとか、そんな意地の悪い事を言いに来たわけじゃない。でもね、傷付けないで」
「え……」
「木村君の事、苦しめないであげて」
滑川さんの言葉が鋭く突き刺さる。
苦しめる?私が、木村君を?
「その気もないのに、気のある素振りを見せないであげてって言ってるの」
木村君が、可哀想。