【完】恋愛距離*.゜ーボクラノキョリー
「木村君は、どんな本が好きなの?」
「俺?んー……ホラーとか?」
「そうなんだ!」
「沢森は?」
「私はね──……」
一月に一度か二度の、放課後の図書委員で交わされる他愛ない会話。
それが俺には心地よくて。
でもそれは恋とかじゃなくて、友情のような──そのくらいの、想いだった。
普段は無口な沢森が、俺と二人のときは色んな表情を見せてくれることがただ、単純に嬉しかった。
気の合う友達。
一緒にいて、楽な友達。
──ただ、それだけだったんだ。
その関係を壊すつもりなんて、全くなかったのに──……。