【完】恋愛距離*.゜ーボクラノキョリー
まるで、漫画のヒーローみたいなタイミングで登場してきた木村君。
ホッとしたからか、ポロリと涙が溢れた。
そんな私の様子に、木村君は目を剥いたかと思うと、金髪の男の人に向き直って。
「テメェ……!泣かせやがったな!」
ビリビリと空気が痺れるような低い声を上げて、その人の胸ぐらを掴みあげた。
「き、木村君!」
それはさすがにまずい、と思って止めようとした手は、振り払われて。
沢森は黙ってろ、と低く制されては、もう何も言うことが出来ない。
……なんで、そんな怒ってるの。
どうしてそんな、怒ってくれるの──。
木村君の優しさに、またじわりと涙が浮かぶ。
ふと、男の人を掴みあげていた木村君の手に、誰かの掌が重ねられた。
「──木村君、落ち着いて。やりすぎ」