【完】恋愛距離*.゜ーボクラノキョリー




まるで、漫画のヒーローみたいなタイミングで登場してきた木村君。


ホッとしたからか、ポロリと涙が溢れた。


そんな私の様子に、木村君は目を剥いたかと思うと、金髪の男の人に向き直って。


「テメェ……!泣かせやがったな!」


ビリビリと空気が痺れるような低い声を上げて、その人の胸ぐらを掴みあげた。


「き、木村君!」


それはさすがにまずい、と思って止めようとした手は、振り払われて。


沢森は黙ってろ、と低く制されては、もう何も言うことが出来ない。


……なんで、そんな怒ってるの。


どうしてそんな、怒ってくれるの──。


木村君の優しさに、またじわりと涙が浮かぶ。


ふと、男の人を掴みあげていた木村君の手に、誰かの掌が重ねられた。


「──木村君、落ち着いて。やりすぎ」



< 224 / 310 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop