【完】恋愛距離*.゜ーボクラノキョリー
木村君がそう言うから、お礼を言ったのに返ってきた言葉はそれで。
戸惑ってあたふたしていると、ぷ、と木村君が笑った。
「ほんと沢森って見てて飽きない」
「なっ……!」
「……本当に俺に感謝してるならさ、俺と一緒に文化祭回ってよ」
──その手を振り解くことは、いつでも出来た。
なのに私は、そう言って私を連れ出した彼の手を振り解くことはできなくて。
朝、渓斗君に悪いから暫く近づかないようにしようなんて思ってたばっかりなのに。
私はこの温もりを、手放すことは出来ない。
「そろそろ沢森のシフト終わる頃だと思って、教室行ったんだよな」
そしたら沢森は変な男に捕まってるし、と木村君は唇を尖らせた。
結局、あのまま連れ出された私は、木村君と校内をフラフラしていて。