【完】恋愛距離*.゜ーボクラノキョリー
悪戯っぽく笑った木村君は、私をビシッと指さして。
「言っとくけど!土屋なんかより俺の方がずっといい男だからな!」
「え……?」
「それに、土屋なんかより俺の方がずっと、お前のこと、好きだし」
──直接的に好きだと言われたのは二回目で、心臓が震えた。
目を逸らしたいのに、逸らせなくて。
「もう一回俺のこと、好きになれよ」
それは木村君からの挑戦状。宣戦布告。
カチリ、と鎖をかけて閉じ込めていた箱の鍵が、開くような音がした。
それは開いてはいけない、禁忌の箱なのに。
思い出してはいけない、感情なのに──