【完】恋愛距離*.゜ーボクラノキョリー
容赦なくマフラーを引っ張られて、ぎりぎりと首がしまる。
おい、少しは手加減しろよ......!
「ちょ、ギブギブ!死ぬっつの!」
ジタバタともがくと、ふっ、と解放されて。
後ろを振り向くと、鬼のような顔をした岩崎が仁王立ちしていた。
岩崎は28歳の英語教師で、釣り目気味の切れ長な瞳と、癖のない黒髪に、高身長というなかなかなルックスから女生徒から密かに人気がある。
そんな岩崎は、俺達バスケ部の顧問でもあって。
小学生の時からバスケをやっているだけあって、なかなか敏腕だったりする。
「お前、無断で練習を休むとはいい度胸だなあ?」
「いや......」
「というより、放課後は俺と一緒に勉強する約束だったよなあ?」
ヒクヒクと口元を引きつらせながらそう言った岩崎に、俺も口元を引きつらせる。
それが嫌だから帰ろうとしたんだよ!とは言えまい。
「え、なになに。理貴なんで岩ちゃんに目え付けられてんの?」