【完】恋愛距離*.゜ーボクラノキョリー
部活は楽しいから好きだし。
「おら、昴いくぞ」
俺は鞄を置き、マフラーとコートを脱いで、バッシュの入った袋を引っ掴んだ。
──そして、テスト一週間前。
今日から部活も停止期間に入り、本格的に勉強ムードが始まる。
実のところ、勉強する気なんて全然起きないが、それでまた英語でしくじったら後が怖い。
「あれ理貴、帰らねーの?」
「俺、ちょっと図書室で勉強してから帰るわ」
放課後、昴にそう言ってから図書室に向かう。
家で勉強したって別に支障は無いんだけど、図書室の落ち着いた雰囲気の方が俺は好きだ。
ガラ、と引き戸を開けると、誰もいないと思っていたそこには思いがけない人物がいた。