【完】恋愛距離*.゜ーボクラノキョリー
俺が立てた音にビクっと小さく震えたそいつは、俺を見て更に驚いたように目を見開いた。
「沢森……」
呟くようにその名前を呼べば、少し気まずそうにしながら沢森は会釈して。
周りを見ると、他に人がいる様子はなかった。
なにこれ、岩崎との闇シチュエーション逃れたと思ったら何このラッキー展開。
どうやら沢森も勉強しに来たらしく、机にはノートと教科書が広がっていた。
「……そっち行ってもいいか?」
恐る恐るそう尋ねると、沢森は一瞬固まってから、こくんと小さく頷いた。
あんま歓迎してるって感じじゃないけど、とりあえず拒否されなかったから良かった。
さすがに、即答で嫌だとか言われたら辛いしな。
俺は沢森の向かい側に座ろうとして、──ふと、思いつく。