【完】恋愛距離*.゜ーボクラノキョリー
「付き合っていくうちに、嘘告で付き合ってることすら忘れるほど、俺は沢森の事が好きになって。──でも、嘘告白だったってことは言い出せなくて」
ちゃんと言ってればこんなことにはならなかったのに、と悔しそうに吐き捨てる。
唇を噛み締めて俯いた木村君は、何かを決心したように息を吸い込むと、私を真っ直ぐ見つめて。
そしてそのまま、私は木村君に抱き寄せられた。
「今更謝っても遅いってわかってるけど、ごめん。沢森の事、沢山傷付けた。だけど本当に俺は、沢森の事が好きだ。……ずっと、今も」
それはとても、切なくて、優しい真実。
木村君は私を傷つけたくなかっただけだった。
全部、木村君の優しさだった。
一番苦しんでたのは、木村君。
だけど。
「本当はお前のこと忘れようと思った。けど、忘れられなくて。沢森が目の前に現れたら、やっぱり我慢なんか効かなくて箍が外れた」
──今の私には、酷な真実。
今更、どうしようもない。
和解し合うにはもう、遅すぎた。