【完】恋愛距離*.゜ーボクラノキョリー
私にはもう、渓斗君という大事な人がいる。
だから、お願い。
「好きだ沢森。もう一回、俺のものになって──」
もう、私の心の中に侵入して来ないで。
私の気持ちを、揺さぶらないで。
目を伏せた端整な木村君の顔がそっと近付いてくる。
これから何が起こるのか、私は直感でわかっていたのに、抵抗することができなくて。
ゆっくりと触れた、木村君の唇の柔らかさに。
私は逆らうことが出来なかった──……。