【完】恋愛距離*.゜ーボクラノキョリー
聖夜*.゜
「……い……おーい」
「……」
「おーい!理貴くーん!おーい!聞こえてますかぁぁ!」
「!?」
突如耳のそばで聞こえてきた大声に、思わず飛び跳ねる。
慌てて横を見ると、大声を出した張本人であろう昴が頬を膨らませていた。
「な、なんだよビビらせんなよ」
「理貴が何回呼んでも気づかねーからだろ。最近なんかぼーっとしすぎじゃね」
「……うっせーな」
何も言い返すことが出来なくて、苦し紛れにそう吐き捨てた俺ははあ、とため息をついた。
確かにここの所、俺は上の空だ。
原因はまあ、いつも通り沢森なわけで。
ふとした時に思い出してしまうのは、触れた唇の感触。
柔らかくて、甘い、沢森の唇。