【完】恋愛距離*.゜ーボクラノキョリー




「理貴、何赤くなってんの?」

「っ、なってねーよ!」

「え、そんな怒る?」


逆ギレすんなよなー、と拗ねる昴に、チッ、と舌打ちする。


こいつ、気づいて欲しくないところばっかり気付きやがる。


あの日、図書室で沢森の誤解を解いて、そのまま思わずキスしてしまったあの日──。


俺から逃げないでキスを受け入れた沢森は、「突然のことでよけられなかっただけ」とごまかした。


それから──。


『き、木村君の言い分はわかりました。でもだからと言って、どうにかなるわけでもないし……。わ、私帰ります』

『は?おい、沢森──』

『べ、勉強会も今日で終わりで!木村君、やれば出来る人みたいですしテストなら大丈夫だと思いますよ!』


それじゃあ!と取り付く島もなく、帰ってしまった沢森。


それからは話す機会もなくなって、期末が始まり、そして終わった。


……よけられなかったとか、嘘つくなよ。


絶対に逃げられる時間はあった。沢森が逃げられるように、隙も作った。




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