【完】恋愛距離*.゜ーボクラノキョリー




部活に行くと、岩崎が俺のことを待っていた。


「よお、よかったな、補習免れて」

「俺の本気なめんな」


んべ、と舌を出してそう言うと、生意気なんだよガキ、と頭を叩かれる。


それから岩崎は、ニタリとした笑みを浮かべた。


ぞっとしてその場から逃げようとしたけど、首根っこを猫みたいに掴まれて逃げられない。


「なんだよ!離せよ!」

「いやあ、本当によかったなあ?」

「っ、何がだよ!」

「好きな女の子、抱きしめてキスまでしてよ」

「……っ!?」


耳元で小声で言われたセリフに、かあっと、体が熱くなる。


こ、こいつ……!


「また覗き見かよ!趣味悪い!」

「俺の見回りの時間を狙ったようにいちゃこらしてるお前らが悪い」


見せつけてんのか、と不機嫌そうに吐き捨てる岩崎は、そうえばこの前恋人と別れたとかいう噂が流れてきてた気がする。


まあそんな地雷踏むような質問、しないけど。



< 266 / 310 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop