【完】恋愛距離*.゜ーボクラノキョリー
「順風満帆じゃねーか。成績も上がって、可愛い彼女もいて、──バスケのスタメンにも選ばれて」
「……は?」
あいつはまだ彼女じゃねえよ、とか。
言いたいことは沢山あった筈なのに、最後の一言でそんなのは全部吹っ飛んで。
真抜けた顔をする俺に、岩崎は不敵な笑みを零した。
「木村理貴。お前を今度の大会のスターティングメンバーに抜擢する」
いつの間にか掴まれていた首根っこは離されていた。
「俺がスタメン……?」
「おーそうだぞ。唯一の一年だ」
ニコニコとやけに上機嫌な岩崎は、ぽん、と俺の肩を叩いて。
「しくじったら許さねえからな」
なんとも酷な命令を俺に言いつけた。
岩崎と俺のやりとりをとなりで見てた昴が、岩崎が居なくなったと同時に騒ぎ出す。
「ちょ!理貴すげえ!一年でスタメンとか!」